健康への道しるべ

内容の補足 (より深い理解のために)

2-1 高血圧

8 Na・K 摂取量の推測

2つの方法を1つずつ説明します。
(1) 食品成分表から Na・K の摂取量を計算する

コツコツと計算していくだけです。
Na の場合は、塩や醤油などごく少量しか使用しないものがありますので、まとまった人数分の計算でなければ、難しいかも知れません。
それ対して、K の場合は、食材そのものに含まれていますので、Na に比べると計算しやすいでしょう。
本書付属の「食品成分表アプリ」をダウンロードして計算できます。

(2) 尿中の Na・K を測定する

尿の採り方には2種類あって、24時間の尿をためて測定する方法と、1回だけの尿で 24時間分の量を推測する方法です。
前者は正確ですが面倒。後者は簡単ですが誤差が少なくない。
ということで、最近は1回の尿で Na:K 比 を計算する方法がよいと言われるようになってきています。 [1]
Na:K比は、Na・K 各々の単独よりも血圧との相関性がよく、しかも簡単。Na・K を各々の摂取量はわかりませんが、「食塩に比べて野菜が少なすぎる」というようなことがわかります。ただ、これも1回だけでなく、3回位検査してその平均値をとる方がよいと言われています。[2]
この方法の基準値はまだしっかり決まっていませんが、モル比で 1.0~2.0 位と考えられています。(重量比 0.6~1.2)

次に、24時間尿の採り方を説明します
(方法1) 24時間の尿を全部ためる

最も単純で正確です。
ただ、1~2~3L (リットル) の尿を貯めなければなりません。夏は腐敗→悪臭がするので、するとしたら「冬の寒い季節に屋外などに小さなバケツ等で貯めて」ということになると思います。全尿量を記録しておいて、検査には、ここから 5-10mL を提出します。

(方法2) 尿の一部だけを貯めておく

排尿の度に 1/50 (または 1/100) を正確に採り貯めておき、残りは捨てます。24時間分貯まれば、この貯めた尿量を測定し、うち 5-10mL を検査に提出します。
1/50 にしたか、1/100 にしたかは、きっちりと覚えておく必要があります。
貯めている尿は涼しい所に置いて置く方がよいでしょう。
少量なので冷蔵庫で保管することもできます。
これをするには、目盛のついたコップと、一部を採るための注射器があれば便利です。
これらの操作を簡単にできるように工夫された装置がありますが、まあまあ高価です。
  「ユリンメート」等の商品名で販売されています。
  (英語で ユリン=尿 , メート=友だち)


参考文献
[1] Burnier M

Should we eat more potassium to better control blood pressure in hypertension?
Nephrol Dial Transplant (2019) 34: 184–193

[2] Kogure M

Consideration of the reference value and number of measurementsof the urinary sodium-to-potassium ratio based on the prevalence ofuntreated home hypertension: TMM Cohort Study
Hypertension Research (2022) 45:866–875