健康への道しるべ

内容の補足 (より深い理解のために)

第1章 炭水化物

2 短鎖脂肪酸

 脂肪酸は、炭素原子が連なり、その一方の端にカルボキシル基 (-COOH) を持つもので、その炭素原子の数によって、長鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸・短鎖脂肪酸などと区分されています。 たとえば、食品に含まれる脂肪酸でよく耳にするものとして「リノール酸」がありますが、これは、炭素数が 18 (炭素が18個連なったもの)で、長鎖脂肪酸になります。 これに対して短鎖脂肪酸と呼ばれるものは、炭素数が5以下のもので、このうち腸内細菌によって作られることが多いものに、酢酸(炭素数2)、プロピオン酸(炭素数3)、酪酸(炭素数4)があります。 これらの短鎖脂肪酸は、私たち体にとって以下のような有益性があります。
(1) 大腸上皮細胞のエネルギー源

酪酸は、大腸上皮細胞の消費エネルギーの 70% をまかなうと言われています。[1]

(2) 情報伝達物質としての働き

途中経過(機序)は省略しますが、結果として以下のような効果をもたらします [1] [2] [3]

・食欲の抑制
・糖尿病の改善・予防
・脂肪蓄積の抑制
・腸管のバリア機能の改善
・免疫抑制
・大腸がんの抑制


参考文献
[1] Carlsen H

Dietary fiber - a scoping review for Nordic Nutrition Recommendations 2023
Food Nutr Res. 2023 Oct 18:67

[2] Fu J

Dietary Fiber Intake and Gut Microbiota in Human Health
Microorganisms. 2022 Dec 18;10(12):2507

[3] Bulsiewicz WJ

The Importance of Dietary Fiber for Metabolic Health
Am J Lifestyle Med. 2023 Apr 12;17(5):639-648